3月19日 晴、夜になって雨

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(亀山郁夫訳 光文社古典新訳文庫)5巻。エピローグ読了し、全編読み了える。
おれ自身をこの小説の登場人物になぞらえるなら、コーリャだった少年時代を経て、現在いちばん近いのはマクシーモフといったところか、などと埒もないようなことを考える。
5巻には、訳者亀山郁夫による「ドストエフスキーの生涯」「解題 「父」を「殺した」のは誰か」の二つの文章が付録についている。学者の文章というのは、論じている対象を遠巻きにグルグル周っているだけで終わるようなものが多いが、鳩山郁夫の文章は、論じている対象のなかにぐんぐん踏み込んでいく大胆さがあって、読んでいて気持ちがいい。その大胆さは、もちろん深い学識に裏づけられているものなのだろうが、そこには著述者の生理といった問題も関わっているように思う。
288ページまで読んで、タイムリミット、仕事の時間になった。

家に帰り、夜、なんとなくテレビ。「ダウンタウンDX」が番組初の生放送ということで、おもしろい放送事故を期待して眺めていたのだが、何も起こらず、ただタレントがガヤガヤしていただけ、つまらなかった。
テレビを消し、武田百合子『富士日記』中(中公文庫)を読み始める。テレビの影響で気持ちが散漫になっていて、なかなか文章のリズムに乗れなかったが、50ページくらい無理やり読み進んだあたりで、すっと文章に乗ることができた。
200ページまで読み進む。

―「東京-山梨往復の国道で。中型トラックに鉄棒のワクが檻のようにわたしてあって、その中に豚が重なって一杯溜めこまれている。ワクに荒い金網を張っているトラックもある。豚はピンク色で、ちっとも汚れていない。鼻先がキュウっと金網に圧しつけられてしまっているのや、下積みになって、全然動くことが出来ないのもある。上のほうに積まれている楽ではない。足がふんばれないので動けない。車がブレーキをかけて停ると、豚同士少し体の位置がずれるが、やっぱり動きはとれない。豚は一匹も啼かない。殺されにいくのにきまっている。トラックはのろのろと走り、のろのろと停る。往き来の車が多いときは追い越しもなかなか出来ず、トラックの後ろについてしばらくはのろのろと走っていることがある。私と助手席の主人は、山積にされた薄ピンク色の、じっとして動けない豚の体や肢や、網にくいこんで、濡れててらてらしている、こちら向きになった豚の鼻や、小さな光る眼をいやでも見続けたまま、ずーっと走っている。豚のトラックのほかに、ニワトリのトラックにも会う。ニワトリが檻から一羽出てしまったが、、肢先だけひっかかって抜けず、逆さになってパサパサしていたのもみた。そのニワトリは嘴をあけたまま声を出さない。」(P126)

1時半頃、ベッドに入る。夜半降り出した雨が勢いを増している。今日はあまり歩かなかったせいか、気圧のせいか、なかなか寝付けない。けっきょく3時過ぎまで、ベッドの中で寝返りをうって過ごした。
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by daiouika1967 | 2009-03-21 00:02 | 日記  

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