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11.23 月 晴

■勤労感謝の日で祭日。晴天。窓辺にいると陽射しが暖かい。夕方まで家でゴロゴロしながら山口猛編『松田優作、語る』(ちくま文庫)を読む。今年は松田優作没後20年ということで、ドキュメンタリー映画が公開されている。享年40歳。今生きていれば60歳になった。こうしてインタビューを読んでいると、50代、60代の松田優作を見たかった、と改めて名残惜しい。
映画界に松田優作が、文学界に中上健次がいて、その世界の表現者を、いい意味で抑圧していた時代があった。現在に至るまで彼らが生きていたら、きっとまた違った緊張感が持続していただろう、と思う。そんなアナザーワールドを夢想する。
山根貞夫によるインタビューが3本。やはり「映画」をわかっているインタビュアーだと話も深くなる。伊丹十三の映画について、山根貞夫が「(週刊誌なんかの)決定的なひどさは、伊丹十三にはなにかこう知的な部分があって、映画はそういう知性とかなんとかがあればできると思っていることですね」とふると、松田優作が「一般的な教養知識をそのまま映画にもあてはめるタコがいるわけです。まあ、しょうがない。そんだけ映画に対する認識不足なんですね」と語る。「映画」は「一般的な教養や知識」などでは制御できるものではない。松田優作は、そんなことすら分からない「決定的にひどい」メディアのなかで、それでも「あたりまえのこと」「ほんとうのこと」を、真正面から伝えようと努めていた。洒脱や格好つけも何もない、異常なほどの生真面目さ-この発言集を読んだ感想である。

by daiouika1967 | 2009-11-25 00:48 | 日記  

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