12.7 月 晴

梨木香歩『ぐるりのこと』(新潮文庫)を読む。エッセイ集。この人の文章は初見だが、事物を見るときの焦点の当て方、そこから思考を紐解いていくときの体感に、親しいものを感じる。この人の、内への降り方、外への向き合い方。自分の感情、他人や自然との距離の置き方、近づき方の呼吸を、とても好ましく感じる。
ジプシーの根こそぎの流離感。音楽とともにある旅の中で、何事も「日々新しく始める」という存在様式。故郷を持たず、起源から切り離された流離者のみに許された無目的な越境(road to nowhere…)、ノスタルジア、そして物語を語ることへの希求。
物語を語る者は、たとえ生活者としては定住していても、その魂は土地に根を張ることなく流離している。
日々の生活を深く丁寧に味わいたい、という欲求もまた、物語を語ることへの希求のひとつのあらわれなのだろう。
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by daiouika1967 | 2009-12-09 18:08 | 日記  

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