5月11日(水) 雨

終日雨。夜になって降りが激しくなった。台風の影響らしい。1号が発生したらしいよ、と妻が教えてくれた。
妻からのメールには、「美宝堂が倒産したらしいよ」とも書いてあった。美宝堂は名古屋の宝石屋。親子3代が出演するCMで有名な店だ。名古屋の人間はみな、その孫が成長する過程をずっとテレビで見ている。以前、そのCMに関わっている代理店のオヤジが、「性格のひねたガキだよ」と言っていたのを思い出した。

リディア・デイヴィス『ほとんど記憶のない女』(岸本佐知子訳 白水社)を読む。長短作風様々な51編の短編からなる短篇集。
岸本佐知子の後書きに「ものの二十ページと読まないうちにすっかり虜になり、読み終わる頃には自分を取り巻く世界が前と少し違って見えたほどだった」とあるが、たしかにそんな読後感だ。
短いものはほんの数行で完結するので、一編(「たいていの場合彼が正しい」というタイトルの掌編を)引用してみる。

≪たいていの場合、私は私たちがどうすべきかについての彼の意見はまちがっていて、私の意見が正しいと思っている。とはいえ実際問題として、今まではたいていの場合、彼が正しくて私がまちがっていた。だから私は、心から信じることはできなくても、彼のまちがった判断が実は正しいのかもしれないと自分に言い聞かせ、彼がまちがった判断を下しても黙っている。そしてたいていの場合、けっきょく彼の判断が正しかったことが後でわかる。というか、彼の判断はやはりまちがっていたのだが、それは現実とは異なる別の状況での話で、私によく理解できない状況のもとでは彼が正しかったのだ。≫

これは、いわゆる「奇想」の類ではない。自分がわけのわからないままその渦中にいる、この世界のリアルを、正面きって描出している。
リディア・デイヴィスの著作は、同じく岸本佐知子訳で、『話の終わり』という長編が出ているようだ。
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by daiouika1967 | 2011-05-11 21:25 | 日記  

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